かし、自分の予想していたこととは、話が大ぶちがっていそうに思えたので、いくらか安心した。そして、まじまじと父の顔を見た。
「お前にはまだ知らしてなかったが、母さんは病気になってね。」
俊亮の声はいやに淋しかった。彼はまだ何かつづけて言うつもりらしかったが、それだけ言うと急に默りこんでしまった。すると正木のお祖母さんが、すぐそのあとを引きとって、愚痴《ぐち》っぽくいろいろと話をした。それによると、お民の病気は肺で、町の狭くるしい、陰気な家にいては、ますます重くなるばかりだから、お祖父さんの発意で、こちらでゆっくり養生することになった、というのであった。
むろん、俊亮の経済的な窮迫とか、本田のお祖母さんの病人に対する仕打とかについては、一言も話されなかった。しかし、次郎は話をききながら、そうしたことについても、大ていは想像してしまった。
ひととおり話が終ると、俊亮が言った。
「実は、母さんがそんな事になったので、お前まで御厄介になるというわけにはいかんから、今日にもお前を町につれて帰ろうかと思っていたんだ。ところが、お祖父さんは、お前が母さんに孝行するのはこんな時だ、どうせ小学校を出
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