どうじゃな、次郎、面白かったのか。」
「面白くなんかありません!」
次郎は憤然《ふんぜん》として答えた。
「面白くない?……ふむ。」
と、正木のお祖父さんは、静かに眼をつぶって、また顎鬚《あごひげ》をしごいた。
「でも、見るものではないって、あれほどあたしが言うのに、よく一日見て居れたものだね。」
お民が白い眼をして言った。
「僕、刀やなんかが、誰んとこにいくか、見てたんだい。」
次郎の言った意味は、誰にもはっきりしなかった。三人は言いあわしたように、次郎の顔を見つめた。
「でも、竜ちゃんとこに沢山いったから、いいや。」
正木のお祖父さんは、ほっと吐息をもらした。それから静かに手招《てまね》きして、
「次郎、ここにお坐り。」
次郎が気味わるそうに坐ると、
「人を恨むんじゃないぞ。買って下さる方は、みんな親切な方じゃ。……なあに、要らないものを売って、要るものに代えるんだから、ちっとも構わん。いいかの、次郎。」
次郎は、そう言っているお祖父さんを、妙に淋しく感じた。彼は默っていた。すると、お祖父さんは、また言った。
「刀が欲しいのか。刀なら、このお祖父さんのうちに行けば沢山
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