何かひそひそと話し出した。俊亮は、次郎が、まだ、残っていたがらくたを眺めながら立っているのを見て、
「何だ、お前まだ起きていたのか。馬鹿だな。早く寝るんだ。」
と、いつになく、きびしい顔をして叱った。
次郎が、茶の間に這入って驚いたことは、いつの間に来たのか、正木のお祖父さんが、白い鬚《ひげ》をしごきながら、端然《たんぜん》と坐っていることであった。お祖父さんの前には、お民とお祖母さんとが、悄然《しょうぜん》と首を垂れていた。次郎は、正木のお祖父さんの顔を見ると、急に、今まで売立を見ていたのが、何か非常に悪いことのように感じられだした。で、後の方から、いそいでお辞儀をして、すぐ寝間に行こうとした。するとお祖父さんは、
「次郎は相変らず元気じゃな。」
と、彼の方をふり向きながら、眼元に微笑をたたえて言った。
「ええ、ええ、もう元気すぎて、さきざきどうなるものでございますやら。家《うち》がこんなになるのも平気だと見えまして、一日じゅう、ああして売立を見物しているのでございますよ。」
お祖母さんは、そう言って、いかにもわざとらしい、ふかい吐息をついた。
「ほほう、見ていましたか。……
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