ともすると、むっつりして、ひとりで何か考えこんだ。それが子供達を一そう気味悪がらせた。
「打ちどころが悪ければ、死ぬところだったね。」
彼は、事件のあとで、いろんな人にそう言われたのを、おりおり思い出す。しかし彼は、そう聞いても死ぬのが怖いという気にはちっともなれない。生籬の根もとに、血まみれになってぐったりと倒れている自分の姿を想像してみても、さして痛切な感じが起るのでもない。死ぬなんて何でもないことだ、というような気がする。
だが、彼は、自分の死骸を想像すると同時に、きっと、その死骸を取り巻いている多くの人々を想像する。すると、彼の心は決して平静であることが出来ない。それは、そのなかに、父や、母や、祖母や、春子などの顔が、さまざまのちがった表情をして現れて来るからである。祖母の顔を想像すると、彼は、何くそ、死ぬものか、という気になる。父や春子の顔を想像すると、哀れっぽい甘い感じになって、死ぬことを幸福だとさえ思う。
(ところで、母さんはどんな顔をするだろう。)
彼はいつも、一生懸命で母の表情を想像してみるのだが、どういうものか、ほかの人たちの顔ほど、はっきり浮かんで来ない。そ
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