がそう言って土堤《どて》を上った。もう一人は默ってそのあとに蹤《つ》いた。次郎は二人を見送ったあとで、裸になって一人で着物を搾《しぼ》りはじめた。
「みんなで搾ろうや。」
 仲間たちがぞろぞろと岸に下りて来た。恭一と真智子は、しょんぼりと道に立っていた。
 次郎は、搾った着物を帯でくくって肩にかつぐと、裸のまま、みんなの先頭に立って、軍歌をうたいながらかえって行った。
 彼は、真智子もこの一隊の後尾に加わっているのを知って、たまらなく愉快だった。恭一と喧嘩をしてみようなどという気は、その時には、彼の心のどの隅にも残っていなかった。
 恭一は、もう彼の相手ではないような気がしていたのである。

     *

 その晩は、真智子の母が訪ねて来て、みんなと晩《おそ》くまで話しこんだ。真智子も無論一緒について来ていた。話は今日の出来事で持ちきりだった。真智子の母は、何度も次郎の頭をなでては、彼の勇気をほめそやした。次郎はぼうっとなってしまった。
 お糸婆さんは、
「お体は小さいけれど、胆《きも》っ玉の大きいところは、お父さんにそっくりです。」と言った。
 次郎は体の小さいことなんか言わなくて
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