るで聖徳太子の画像を見るようだと、みんなが笑ったものだが、実際今では、次郎の身長は俊三と三分とちがっていないのである。
むろん二人の着物は、同じ長さに裁《た》たれた。しかも大ていは同じ柄の飛白《かすり》であった。だから、二人は着物を取りちがえては、よく喧嘩をした。もっとも、喧嘩をしても、母や祖母は少しも困らなかった。というのは、汚れや綻《ほころ》びの多い方を次郎のだときめてしまえば、それで簡単に片がついたからである。
むろん、この決定には、しばしば誤りがあった。しかし、誤りがあっても、そう決めて置く方が簡単であり、次郎の戒《いまし》めにもなると、二人は考えていたのである。
着物の方は何とか諦めがつくとしても、毎日学校の往き帰りに、俊三と並んで歩かねばならないことは、次郎にとって、何としても我慢の出来ないことであった。実を言うと、彼はかなり以前から、自分のちびなことに気がついて、内心それを苦にしていた。それも、俊三と一緒でない場合にはさほどでもなかったが、この頃のように、いつも二人で並んで歩かなければならなくなると、まるで曝《さら》し物同然で、何だか身がすくむような気がするのである
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