オまつた、是れは羅公如意奪顏色とある、又公遠が符を飛ばして、三藏の金襴の袈裟を奪ふたが、三藏は呪を誦してこれを取つた公遠は、更らに水龍符を袈裟の上に撰びたが、袈裟は散して、絲縷となりて盡きたとある、天子の神仙を好んだことは、明皇十七事と云ふ書にも出て居る、善無畏三藏が、天子の命を受けて雨を祈つたことも、此の書の中に出て居る、當時天子の禁廷に出入して、其の寵遇を受けた術士高僧は、尠くはなかつたが、就中、不空三藏は、灌頂國師となつて最も、天子の親信を受けたのである、宋の高僧傳を見ると、左の如き文がある。
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玄宗召術士羅公遠、與空※[#「てへん+角」、60−9]法、同在便殿、羅時時反手掻背、羅曰借尊師如意、時殿上有華石、空揮如意、撃碎於其前、羅再三取如意不得、帝[#「帝」に白丸傍点]欲起取、空曰三郎[#「三郎」に白丸傍点]勿起、此影耳、乃擧手示羅、如意復完然在手とある。
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佛祖歴代通載の第十七卷には、天寶年間丙戌の記事として前文と大同小異の文が載せてある。
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是歳不空三藏自西域還、詔入内結壇、爲帝灌頂、賜號智藏國師、時方士羅
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