繝hット付き] 〔Citra−gupta_ya sva_ha_〕 諸佛に歸命す、「チトラグプタ」に素婆訶」とある(淨嚴の普通眞言藏、下卷參照)「チツトラグプタ」は、印度の冥官で、焔羅王の命を受けて、人間界を案行し善惡の記録をとりて、死者來れば、其の記録によりて、焔羅王を扶けて死者の靈魂を裁判せしむる役目あるものである、今日印度で「カーヤ、ストハ」と云ふ状師書記、主薄などの階級は、遠く其の系統を「チツトラグプタ」に遡及して居る、支那の泰山府君が此の印度の神と同一にされて、密教の中に入つてゐるは、實に奇妙な現象である、又護符の中に、急々如律令などの文句は、道教にも密教にも、同じく使用せられた文句である、太宗皇帝時代の上流社會の風尚は、佛教よりも、寧ろ道教に傾いて居つた樣であるが、何分隋以來の風流餘韻が、唐代の初期に及んで居るから、佛教も、衰へた譯でなく、玄奘だの、玄證だのと云ふ樣な佛教界の英俊が出た時代であるから朝廷の佛教に對する崇敬の念は、増すばかりであつた、高宗皇帝の時代になると、玄照と云ふ高僧などは、勅命を蒙つて、印度に派遣せられ、長年婆羅門盧迦溢多を迎へに行つたことが、義淨三藏の大
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