必要もありました。自分のためではなくて、他の一人を酔わせでおくための酒でした。かくて大雷鳴の時に至って、カミナリ組の三名と、他の一名は酒によって、いずれも有って無き存在となり、残る二名のうち、彼以外の三枝子さんは彼に殺されるから、これは完全に無き存在となるわけで、ある時間中は自分以外の「有る」存在は母里家に一人もいなかったという、ハゲ蛸で時田栃尾両名の口論から思いついた犯罪ながらも、計画は行き届いておりましたし、偶然も彼に味方するところが多かったようです。第一昨夜の、大雷雨が実に長時間にわたりました。さて、この事件の結果として、どういうことが起ったかというと、犯人はいったん質に入れたものを受けだしています。それは合計して千円を越す大金ですが、それは事件の発見された当の夜のことで、その日中には犯人は時田さんのところに居ったことが分っているし、これは時田さんから出た金であろう。すると時田さんがユスられているワケであるが、ユスられるのはナゼであるか。それを知る方法は現場には一ツもないのです。私は意を決して時田さんに手紙を送り、彼が犯人ではない理由を証明した上で、どういう方法でユスられているか
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