さなければなりませぬ。かの別館はそれを予定して建てられたものでありました。しかし、いかにすれば代りの誰かを焼き殺すことができるでしょうか。予定の計画によれば墓をあばいて屍体を焼く筈でありました。しかし私の単独の力では、それを為しとげることはできません。遊学したい一念に思いみだれた私は、不覚に、藤ダナの下で、心の迷いを露出してしまったのです。はやく風守さまを消滅させたい願いは近づいた死期の予言となり、それを欲して為し得ぬ悩みは、生きているのはやさしいが死ぬことはむずかしいと言葉となって表れたのです。私自身の生死のことではなく、風守さまという架空のお方の生死について偽らぬ感懐でありましたろう。
 コクリサマの予言を見て確信的に否定したのは、風守さまを殺す者が私自身であるによって当然のことでありました。私はみたし得ぬ心に足おもく別館へ戻りました。、すると、別館に忍び入る意外な人物を見出しました。それは言うまでもなく木々彦であります。私は誰何《すいか》して口論を重ねましたが、酔い痴れた彼があくまで謎の人物風守さまを一見したい、彼は狂人ではあるまい、と言い張るのをきくうちに、ムラムラと悪心が起り
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