さえぎられた隣室じゃないか」
「分らない時は分らねえやな。しかし、まさかお前の部屋へはいったのが幽霊じゃアないだろう。どうにもオレには分らねえ」
「もうよしねえよ」
さえぎったのは五十嵐であった。
「そんな話をしたって際限もねえや。大和と今村を待っていても仕方がねえや。オレは一足先に帰るぜ。今日はバカバカしい一日だったな」
と、彼は立って帰ってしまった。残った四人はいかにすべきか相談していたが、これも一と先ず立帰ることにきまった様子。そのとき新十郎はガラリと障子をあけて、
「皆さん、ちょッとお待ち下さい。私はこういう者ですが、明日のお午ごろ、もう一度ここへ集って下さいませんか。今度は私の司会で犯人探しをやろうという趣向ですが」
一度はこの伏兵に慌てたらしいが、みんな聞かれて名探偵に開き直られては仕方がない。問われるままに今夜泊るべき宿や住所をそれぞれ新十郎に答える。清松は怒って、
「オレたち四人の者だけ集めて、そんなことをしたって何にもなりゃしねえや。五十嵐を帰したのはどういうわけだ」
「あの人の行先は分っています。芝の今村さんのところへユスリに行っているのですよ」
「フン、そこ
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