興にのりだしたのは自然であるが、これを正規の復興に利用し、政党費までこの連中の新円に依存しようという量見を起した政党の無定見、一時しのぎのさもしい根性、未来の設計に対する確たる見透しや理想の欠如というものは、ひどすぎた。
歴史に徴しても、無能な政府というものは、主として一時しのぎのさもしい量見で失敗しているものだ。
自分の政敵を倒すために他人の武力をかりて、かえって武力に天下をさらわれてしまう。平安貴族の没落、平家の天下も、源氏の天下も、南朝の悲劇も、無為無能の政府が一時しのぎに人のフンドシを当《あて》にしたせいだ。
敗戦後のいくつかの政府は、歴史上最も無能な政府の標本に属するものであったが、占領軍の指導で大過なきを得たのであった。
歴史をくりかえすのはバカのやることだ。歴史は過ちをくりかえさぬために学ぶ必要があるのである。
数年前からボス撃滅を叫びながら、今もって各地はボスの勢力下にあり、却々《なかなか》もって撃滅どころの段ではない。代議士、府県会議員、市町村議員にも多数のボスが登場しているし、ボスでない議員もボス化し、困ったことには役人官僚もボス化しているから、盛り場のチ
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