が見たいネ。田舎のお祭の因果モノの見世物小屋の話ではないよ。現在日本のホンモノの代議士ですよ。こんなバカらしい茶番は、モリエールでも思いつかなかった。ギリシャの天才もこんなギャグに思い至ることができなかった。茶番が発生する地盤には、もっと高い文化生活があって、これほどの蒙昧を許すことができないのだ。総理大臣がキチガイだったというようなナンセンスは可能であるが、困果モノは文化の世界には容れられない。あくまで田舎まわり専門なのである。キチガイは人間の世界であり、これを治す精神病院というものが確立されているが、因果モノは人間の領域ではない。これに対処するには教育という根本問題があるだけで、因果モノや迷信を治す病院などはないのである。
 父一代で不可能な事業を子供に継承させるということは大いに有りうることだ。特に、学術に於ては、そうだ。しかし、そこには、発展ということが当然約束されていることを忘れてはならない。
 つまり、人間というものが、本来、過去を継承して、発展する動物なのである。その人間本来の関係が、父子の場合に行われるだけの話で、その子に課された役割は、単なる継承や身代りではなく、発展
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