ボットで、自由人では有り得ないか、そんなバカなことはない。党員とても自由人で結構ではないか。党員の節操はロボットたることではなかろう。
しかし、まア、そういう論議は政治とは何ぞやということになって始末に負えなくなるから、いゝ加減で切りあげて、問題を、結婚へ移そう。
政党といっても、根は思想であるが、思想の異る二人の自由人が結婚生活を持続することが出来ないか、どうか。
ボクら文士の場合、文士というものは、徒党的に一括することのできないものだ。一人一人立場が違う。しかし、結婚生活は不可能ではない。
文士二人結婚して、作風を似せ合うということもない。
結婚はとにかくとして、恋愛について云えば、尚更のこと、ショパンはジョルジュ・サンドに惚れたが、この二人は凡そ思想的に通じたところはない。しかし、思想の異質の人間が、惹かれ合い、恋し合うことは不自然ではなく、世上ザラにあることだ。天光光氏の場合も、ちッとも怪しむに足らないし、又、それだからその恋愛が不純だなどゝいうバカな理屈はありうべきことではない。
恋愛にして、しかりとすれば、結婚はその延長にすぎないもので、なにも屁理窟を弄するとこ
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