の先生で、以上の問題が厳粛なる事実などで割り切られては助からんのである。
 こういうチンプンカンプンの道義感よりは、選挙対策で恋愛問題を割りきる方がむしろ清潔でサッパリしている。厳粛なる事実などを持ちだす限り、園田氏は妻子を離別すべからず、これが鉄則でなければならない。この厳粛なる事実の前では、天光光氏の厳粛なる事実は問題とならないのである。
 もっとも、堤女史が厳粛なる事実を持ちだしたのは、その道義感によってではなく、又、自らの選挙対策によってである、というなら、何をか云わんや。これは論議のほかである。天光光氏の問題とは関係のないことだ。

          ★

 政党を異にするものの結婚生活が成立するか。
 この問題に関して、世は挙げて懐疑派がいないらしいから、フシギである。そんなにハッキリきまったもんかね。政党の異なる人種は結婚できんときまっていますか。
 政党とは何ぞや。党員とは何ぞや。選挙に於て、民衆が政党を選ぶか、個人を選ぶか、まア、政党を選ぶ方が本当だろう。民衆は自由人である。党員とは違う。時に際して、時に適した政党を自由に選ぶだけである。
 しかし、政党員は政党のロ
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