て仲良くなるもののようだ。むやみにケンカをしかけたがるのも臆病のせいだというのが見えすいていて、チャチな日本犬を飼うとガッカリするものである。
支那種のチャウチャウという犬が、やっぱり日本犬によく似ている。根が同じものかも知れない。そして現在小型の日本犬と称するものには、チャウチャウとのアイノコも多い。臆病故の勇み肌も同じことで、日本犬以上にケンカをしたがる。敵に己れの存在の知られぬうちに、突然うしろから走り寄って尻にかみつくという日本犬もやらないケンカの手を用いる。存在を知られて正面へまわるともうダメで、ヨダレをたらしてむやみに唸っているうちに、クビの根ッ子をくわえられて二三間ふりとばされて退散する。
ケンカをしたがる犬は弱虫の証拠なのである。またバカの証拠なのである。ケンカをしなければならぬ理由も必要もないではないか。ただ相手が怖いのだ。疑心暗鬼である。そしてそのようにバカで疑り深くて、飼い主のほかに信頼のおけない甘ったれた性質が、日本犬の番犬に適しているところであろう。但し、よく吠える点では番犬に適するけれども、真の敵と闘う力や勇気の点では疑わしい。どうも日本犬というものは実
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