烽フか! そして私の目はまた、日の光を受けてる黄色いかわいい花の上に向いた。
弁護士だけを待ってた裁判長は、突然私に起立を命じた。兵士らは武器をとった。電気じかけででもあるように、全会衆は同時に立ちあがった。法官席の下のテーブルについてるやくざな無能な顔つきの男、たぶん書記だろうと私は思うが、その男が口を開いて、私の不在中になされた陪審員らの評決を読みあげた。冷たい汗が私の全身から流れた。私は倒れないようにと壁につかまった。
「弁護士、君は本刑の適用について何か言いたいことがあるか。」と裁判長はたずねた。
私のほうでは言いたいことばかりだったが、何一つ口に出てこなかった。舌が顎にくっついてしまっていた。
弁護人は立ちあがった。
私にも分ったが、彼は陪審員らの申告を軽減しようとつとめ、彼らが申請した刑のかわりに、他の刑を、先刻彼がそれを望んでいるのを見て私がひどく気色《きしょく》を害したあの刑を、そこに持ってこようとつとめた。
私の憤慨の念はひどく強くて、私の考えを争奪してるあらゆる感情を貫いて現われてきたほどだった。私はすでに彼に言ったことを、いっそ死刑のほうがましだというこ
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