ホし、その恐ろしい懲罰を内輪同士の祝いごととしていた。
 彼らはやってくるにしたがって、監視らの立ちならんでいるあいだを、鉄柵のついた小さなほうの中庭に押しやられた。そこには医者たちが彼らを診察するために待ち受けていた。囚人らは皆そこで、目が悪いとか足が不自由だとか手が不具だとか、なんらかの健康上の口実を述べたてて、移送を避けるために最後の努力を試みた。しかし皆たいていは徒刑場に適するものと認められた。すると彼らは各自こともなげにあきらめをつけて、いわゆる生涯の不具なるものをすぐに忘れてしまった。
 小さな中庭の鉄柵はまた開かれた、一人の獄吏がアルファベット順に点呼した。すると彼らは一人一人出てきて、大きなほうの中庭の隅に行き、名前の頭文字のままに与えられた仲間のそばに立ちならんだ。かくて彼らは各自に自分自身だけになされる。各自に自分の鎖を担い、未知の者と相並ぶ。偶然一人の友があっても、鎖のためにへだてられる。最後の悲惨事だ。
 約三十人ばかり出てきたとき、鉄柵はまた閉ざされた。一人の監視が棒で彼らに列を正させ、粗麻《あらあさ》の一枚のシャツと上衣とズボンとを一人一人の前に投げ出し、そ
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