e織の上衣をつけたまま、そこで休息し眠るものとされている。
頭の上には、空のかわりに、アーチ形[#「アーチ形」に傍点]といわれてる真暗な円天井があって、厚い蜘蛛《くも》の巣がぼろ布のようにぶらさがっている。
それに、窓もなく、風窓もない。木材に鉄を張りつめた扉が一つあるきり。
いや違っていた。扉のまんなかの上のほうに、九インチ四方ほどの穴がある。十字の鉄格子がついていて、夜は看守が閉めきってしまう。
外には、かなり長い廊下がある。壁の上方の狭い風窓から空気もかよい明るみもさし、煉瓦《れんが》の仕切りで分かたれているが、まるい低い扉で通行ができる。それらの廊下部屋はそれぞれ、私がはいってるような監房の一種の控え室となっている。そしてそれらの監房には、典獄から懲戒に付せられた囚人が入れられる。最初の三つは死刑囚のものとされている。獄舎にいちばん近くて、獄吏にとってももっとも便利だからだ。
それらの幽閉監房だけが、昔のビセートルの城の名残りであって、ジャンヌ・ダルクを火刑にしたあのウィンチェスターの枢機官が十五世紀に建てたままのものである。先日やって来た見物人[#「見物人」に傍点]
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