Nやドバケルなどは助かっただろう。オセロのごとき人物を断頭台にのぼらせることはなくなるだろう。
 それにまた、誤解のないようにしてほしいことには、この死刑の問題は日に日に成熟している。やがては社会全体がわれわれと同様にそれを解決するだろう。
 もっとも頑迷な刑法学者らにも留意してもらいたいことには、一世紀このかた死刑は漸次減退している。死刑はほとんど穏和になっている。それは老衰のきざしであり、衰弱のきざしであり、やがて死滅するしるしである。責め道具はなくなった。刑車はなくなった。首吊柱はなくなった。ふしぎなことではあるが、断頭台そのものも一つの進歩である。
 断頭台創案者ギヨタン氏は仁者である。
 実際、恐ろしい歯をそなえて、ファリナッキやヴーグランを、ドランクルやイザーク・ロアゼルを、オペードやマショーをむさぼり食う、恐ろしい正義の神テミスも、健康が衰えてき、痩《や》せ細っている。もう死にかけている。
 はやすでにグレーヴの刑場もそれをきらっている。名誉を回復しようとしている。この古い吸血婆たるグレーヴは、七月革命の折には品行をつつしんだ。それ以来彼女はよい生活を望み、最後のみごとな
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