A切り落とされる最初の首に注意しなければいけない。それは首に対する貪欲心を民衆におこさせる。
それゆえわれわれは個人的には、四人の大臣に死刑を免れさしてやろうと欲する人々に賛成であり、感情的にも政治的にもあらゆる点で賛成であった。ただ、死刑の廃止を提議するのに議会が他の機会を選ぶことこそ、われわれのさらに好むところだった。
もしその望ましい廃止が、チュイルリーの宮殿からヴァンセンヌの牢獄へ落ちこんだ四人の大臣についてでなく、ある大道の強盗について、あるみじめな者について、提議されたのであったならば……。みじめな人々、街路で諸君のそばを通っても、諸君はそれにほとんど目もくれず、言葉をかけもせず、その埃まみれの肱を本能的に避けようとする。不幸な人々、幼年時代にはぼろを着て、四つ辻の泥のなかをはだしで駆けまわり、冬は河岸べりにうち震え、諸君が食事をしに行くヴェフールの家の料理場の風窓で身をあたため、あちこちで塵埃塚《ちり》のなかからパンの皮を掘り出し、それをふいてから食べ、終日|鉤《かぎ》で溝をかきまわしては一文二文を漁《あさ》り、楽しみとしてはただ、国王の祝日の無料の見世物と、もう一つ
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