フ無料の見世物たるグレーヴの死刑執行だけである。憐れな者ども、空腹から窃盗をするようになり、窃盗からその他のことをするようになる。邪険な社会の裸一貫の子供たち、十二歳で懲治監《ちょうじかん》に引き取られ、十八歳で徒刑場に送られ、四十歳で死刑台にのぼらせられる。不運な人々、一つの学校と仕事場とを与えられれば、善良な者となり、正当な者となり、有用な者となるはずなのを、なすすべを知らぬ諸君のために、ただ無益な荷物として、あるいはツーロン徒刑場の赤服の群のなかに投げこまれ、あるいはクラマール墓地の黙然たる囲壁のなかに投げこまれて、自由を盗まれた後に生命を強奪される。もしそれらの人々の誰かについて、諸君が死刑の廃止を提議していたならば、おお、その時こそ、諸君の会議は本当に立派な偉大な神聖なおごそかな尊むべきものとなったであろう。トラントの崇《あが》むべき教父たちは、異端者らの改宗をも希望したので、神聖会議は不信者の帰依を希うがゆえに[#「神聖会議は不信者の帰依を希うがゆえに」に傍点]、神の内臓[#「神の内臓」に傍点]の名において異端者をも会議に招いたが、そのトラントの会議以来、諸君の会議は人の集
前へ 次へ
全171ページ中141ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング