スもののこと、一八二九年八月八日に王政自身がまっしぐらに駆け降りたあの急坂を、途中で立ちどまることの不可能だったこと、それまでわれわれがあまり考慮を払わずにいた、王家の者の勢力のこと、ことに、彼らのうちの一人が彼らの不幸のうえに緋《ひ》の衣のように広げかけていた威厳のことなどを。それでわれわれは、彼らの命が助かることを衷心《ちゅうしん》から希望する者であり、そのためには常に尽力を惜しまない者である。万一彼らの死刑台がグレーヴの刑場に立てられることであったとすれば、たとい空想にもせよわれわれは信じたいのであるが、たぶんその死刑台を転覆するために暴動が起こったであろう。そして今これを書いている著者はその神聖な暴動の仲間にはいっていたであろう。なぜかなれば、これもまた言っておかなければならないことであるが、すべて社会的危機においては、あらゆる死刑台のうちでも、政治的死刑台はもっとも呪うべきものであり、もっとも痛ましいものであり、もっとも有毒なものであり、もっとも根絶しなければならないものである。この種の断頭台は敷石のなかにも根をおろして、わずかの間にあらゆる地点に生え広がる。
革命の時には
前へ
次へ
全171ページ中139ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング