ェまっ先に乗った。
「こんにちは、サンソン先生!」と鉄柵にぶらさがってる子供らは叫んだ。
一人の助手が彼につづいて乗った。
「ひやひや、どんたく先生!」と子供らはまた叫んだ。
彼らは二人とも前部の腰かけに座った。
こんどは私の番だった。私はかなりたしかな態度で馬車に乗った。
「しっかりしてる!」と憲兵のそばの一人の女が言った。
その不逞《ふてい》な賛辞は私を元気づけた。司祭が私のそばに来て席を占めた。私は馬のほうに背を向けて後ろむきに、後部の腰かけに座らされたのだった。そういう最後の注意を見てとって私はぞっとした。
彼らはそれを人情のあることだとしている。
私はあたりを見まわしてみた。前には憲兵ら、後にも憲兵ら、それから群集に群集に群集、広場の上はまるで人の頭の海だった。
鉄門のところに、騎馬の憲兵の一隊が私を待っていた。
将校は命令をくだした。荷馬車とつきそいの行列とは、いやしい群集の喚声で押し進められるように動きだした。
鉄門を通過した。馬車がポン・トー・シャンジュのほうへまがった時、広場じゅうが敷石から屋根に至るまでどっとわき立ち、ほうぼうの橋と河岸とがこたえ合
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