んご》を函《はこ》の中《なか》へ投込《なげこ》んで、蓋《ふた》をしてしまいました。
 そこへ男《おとこ》の子《こ》が帰《かえ》って来《き》て、扉《と》の所《ところ》まで来《く》ると、悪魔《あくま》のついた継母《ままはは》は、わざと優《やさ》しい声《こえ》で、
「坊《ぼう》や、林檎《りんご》をあげようか?」といって、じろりと男《おとこ》の子《こ》の顔《かお》を見《み》ました。
「母《かあ》さん、」と男《おとこ》の子《こ》が言《い》った。「何《なん》て顔《かお》してるの! ええ、林檎《りんご》を下《くだ》さい。」
「じゃア、一しょにおいで!」といって、継母《ままはは》は部屋《へや》へはいって、函《はこ》の蓋《ふた》を持上《もちあげ》げながら、「さア自分《じぶん》で一個《ひとつ》お取《と》りなさい。」
 こういわれて、男《おとこ》の子《こ》が函《はこ》の中《なか》へ頭《あたま》を突込《つっこ》んだ途端《とたん》に、ガタンと蓋《ふた》を落《おと》したので、小児《こども》の頭《あたま》はころりととれて、赤《あか》い林檎《りんご》の中《なか》へ落《お》ちました。それを見《み》ると、継母《ままはは》
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