、血《ち》のように赤《あか》く、雪《ゆき》のように白《しろ》い男《おとこ》の子《こ》でした。おかみさんは自分《じぶん》の娘《むすめ》を見《み》ると、可愛《かわゆ》くって、可愛《かわゆ》くって、たまらないほどでしたが、この小《ちい》さな男《おとこ》の子《こ》を見《み》るたんびに、いやな気持《きもち》になりました。どうかして夫《おっと》の財産《ざいさん》を残《のこ》らず自分《じぶん》の娘《むすめ》にやりたいものだが、それには、この男《おとこ》の子《こ》が邪魔《じゃま》になる、というような考《かんが》えが、始終《しじゅう》女《おんな》の心《こころ》をはなれませんでした。それでおかみさんは、だんだん鬼《おに》のような心《こころ》になって、いつもこの子《こ》を目《め》の敵《かたき》にして、打《ぶ》ったり、敲《たた》いたり、家中《うちじゅう》を追廻《おいまわ》したりするので、かわいそうな小児《こども》は、始終《しょっちゅう》びくびくして、学校《がっこう》から帰《かえ》っても、家《うち》にはおちついていられないくらいでした。
或《あ》る時《とき》、おかみさんが、二|階《かい》の小部屋《こべや》へは
前へ
次へ
全29ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
グリム ヤーコプ・ルードヴィッヒ・カール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング