って、泣《な》きながら、こう言《い》いました。
「もしかわたしが死《し》んだら、あの杜松《としょう》の根元《ねもと》へ埋《う》めて下《くだ》さいね。」
これですっかり安心《あんしん》して、嬉《うれ》しそうにしているうちに、九|月《つき》が過《す》ぎて、十|月目《つきめ》になって、女《おんな》は雪《ゆき》のように白《しろ》く、血《ち》のように赤《あか》い小児《こども》を生《う》みました。それを見《み》ると、女《おんな》はあんまり喜《よろこ》んで、とうとう死《し》んでしまいました。
夫《おっと》は女《おんな》を杜松《としょう》の根元《ねもと》へ埋《う》めました。そしてその時《とき》には、大変《たいへん》に泣《な》きましたが、時《とき》が経《た》つと、悲《かなし》みもだんだん薄《うす》くなりました。それから暫《しばら》くすると、男《おとこ》はすっかり諦《あきら》めて、泣《な》くのをやめました。それから暫《しばら》くして、男《おとこ》は別《べつ》なおかみさんをもらいました。
二|度目《どめ》のおかみさんには、女《おんな》の子《こ》が生《う》まれました。初《はじめ》のおかみさんの子《こ》は
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