と、木々《きぎ》の梢《こずえ》が青葉《あおば》に包《つつ》まれ、枝《えだ》と枝《えだ》が重《かさ》なり合《あ》って、小鳥《ことり》は森《もり》に谺《こだま》を起《お》こして、木《き》の上《うえ》の花《はな》を散《ち》らすくらいに、歌《うた》い出《だ》しました。五|月《つき》経《た》った時《とき》に、おかみさんは、杜松《ねず》の樹《き》の下《した》へ行《ゆ》きましたが、杜松《としょう》の甘《あま》い香気《かおり》を嚊《か》ぐと、胸《むね》の底《そこ》が躍《おど》り立《た》つような気《き》がして来《き》て、嬉《うれ》しさに我《われ》しらずそこへ膝《ひざ》を突《つ》きました。六|月目《つきめ》が過《す》ぎると、杜松《ねず》の実《み》は堅《かた》く、肉《にく》づいて来《き》ましたが、女《おんな》はただ静《じっ》として居《い》ました。七|月《つき》になると、女《おんな》は杜松《ねず》の実《み》を落《おと》して、しきりに食《た》べました。するとだんだん気《き》がふさいで、病気《びょうき》になりました。それから八|月《つき》経《た》った時《とき》に、女《おんな》は夫《おっと》の所《ところ》へ行《い》
前へ
次へ
全29ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
グリム ヤーコプ・ルードヴィッヒ・カール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング