んご》の皮《かわ》を剥《む》いていました。剥《む》いてゆくうちに、指《ゆび》を切《き》ったので、雪《ゆき》の上《うえ》へ血《ち》がたれました。([#ここから割り注]*(註)杜松は檜類の喬木で、一に「ねず」又は「むろ」ともいいます[#ここで割り注終わり])
「ああ、」と女《おんな》は深《ふか》い嘆息《ためいき》を吐《つ》いて、目《め》の前《まえ》の血《ち》を眺《なが》めているうちに、急《きゅう》に心細《こころぼそ》くなって、こう言《い》った。「血《ち》のように赤《あか》く、雪《ゆき》のように白《しろ》い小児《こども》が、ひとりあったらねい!」
言《い》ってしまうと、女《おんな》の胸《むね》は急《きゅう》に軽《かる》くなりました。そして確《たし》かに自分《じぶん》の願《ねがい》がとどいたような気《き》がしました。女《おんな》は家《うち》へ入《はい》りました。それから一|月《つき》経《た》つと、雪《ゆき》が消《き》えました。二|月《つき》すると、色々《いろいろ》な物《もの》が青《あお》くなりました。三|月《つき》すると、地《じ》の中《なか》から花《はな》が咲《さ》きました。四|月《つき》する
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