家へ行って、ヴィール夫人がいるかどうかをまた尋ねた。そこの人たちは彼女の再度の問い合わせにいよいよ驚いて、「ヴィール夫人はこの町には来ていない、もし来ていれば、きっと自分たちの家へ来なければならない」と答えると、「それでも私は土曜日に二時間ほどヴィール夫人と一緒におりましたのですが……」と彼女は言った。
いや、そんなはずはない。もしそうだとすれば、第一自分たちがヴィール夫人に逢っていなければならないと、たがいに押し問答をしている間に、船長のワトソンがはいって来て、おおかた彼女が死んだので、お知らせがあったのだろうと言った。その言葉がバーグレーヴ夫人には妙に気がかりになったので、早速にヴィール夫人一家の面倒を見てやっていた人のところへ手紙で聞き合わせて、初めて彼女が死んだことを知った。
そこで、バーグレーヴ夫人はワトソンの家族の人たちに、今までの一部始終から、彼女の着ていた着物の縞柄や、しかもその着物は練絹であるといったことまでを打ち明けて話した。すると、ワトソン夫人は「あなたがヴィールさんをご覧になったとおっしゃるのは本当です。あの人の着物が練絹だということを知っている者は、あの人
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