vesen die mein Traum gebar,
Der rauhen Wirklichkeit zum Raube,
〔Was einst so scho:n, so go:ttlich war”〕
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き]――Schiller : Die Ideale.
[#ここで横組み終わり]
桐の一葉をさきだてゝ
浮世の空に音づれし
秋は深くもなりにけり。
虫のねほそる秋の野を
染めし昨日の露霜や
萩が花ずりうつろへば
移る錦は夕端山
思入る日に啼く鹿の
紅葉織りなす床の上。
谷間は早く暮行けど
入日の名殘しばとめて
にほふをのへの夕紅葉、
花のあるじにあらねども
山ふところのしら雲に
契るやいかに夜半の宿。
千尋《ちひろ》の谷の底深く
流るゝ川のみなもとは
いづく幾重の嶺の雲
玉ちる早瀬浪の音
都の塵に遠ければ
耳を洗はむ人も無く。
雪より白きたれぎぬを
狹山おろしに拂はして
岸にたゝずむかれやたそ
巫山洛川いにしへの
おもわを見する乙女子は
浮世の人か神の子か。
――――――――
かたへにたてる若人の
汀につなぐ舟一葉
浮世の波に漕ぎいづる
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