半の空
流れ流るゝ谷川の
水の響はたえねども
水の行くへは替れども
覺めずやあはれなが胸に
燃ゆる思の夏の夢。
夏夜
靜けき夏の夜半の空
遠き蛙の歌聽けば
無聲にまさるさびなれや
眠を誘ふ水の音
心しづかに流るれど
夕月山に落ち行けば
影を涵さんよしもなし。
星夜の空の薄光り
心を遠く誘ひつゝ
すゞしくそよぐ風のねは
神のかなづる玉琴に
觸れてやひゞく天の樂、
昨日の夢と悲みし
浮世の春は替はれども
見ずやとこよの春の花
散らでしぼまで大空の
星のあなたにほゝゑむを。
光
[#ここから横組み]
[#ここから5字下げ]
“Hail, holy Light, offspring of Heaven, First−born !
Or of the Eternal coeternal beam !”
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き]―Milton.
[#ここで横組み終わり]
くしき天地《てんち》の靈となり
我世にありて道となり
心にありて智慧となり
迷を破り暗を逐ひ
望をおこし愛を布く
光仰ぐもたふとしや。
清くいみじく比なく
おほ空高く星に照り
下かんばしく花に
前へ
次へ
全54ページ中19ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
土井 晩翠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング