思ひ出し
淋しくなつても
とんてんかん

鍛冶屋の小僧さん
ほそ腕に
力をこめて
とんてんかん。
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   岐阜提灯

しんとん とろり
岐阜提灯《ぎふちやうちん》

岐阜提灯に
灯《ひ》をつけよう
つけりや水いろ
夢のいろ
ぼんやり照らす
やはらかさ。

しんとん とろり
岐阜提灯

岐阜提灯を
軒のした
つるしてそつと
眺めてりや
しづかな夢を
見てるやう。
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   おるすばん

かあさん おるす
泣かないの
ひとりで寢ても
泣かないの。

ひとつ、ねむれば
花のゆめ
ふたつ、ねむれば
星のゆめ。

みっつ、ねむれば
もういいの
起きりやうれしい
まくらもと。

おみやが[#「おみやが」に傍点]たんと
もらへるの
泣かずにるすばん
するからよ。
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   泥の鳩

おもちやの鳩《はと》は
泥《どろ》の鳩
羽根はあつても
飛べぬ鳩
吹かなきや鳴かぬ
笛の鳩。

おもちやの鳩は
泥の鳩
豆をやつても
食べぬ鳩
やさしくせぬと
われる鳩。

おもちやの鳩は
泥の鳩
けれどあたしの
好きな鳩
なかよくいつも
あそぶ鳩。
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