歌時計
童謠集
水谷まさる

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)小枝《こえだ》

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(例)桃|買《か》つて

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   序

 この小さな童謠集を「歌時計」と名づけたのは、べつに深い意味はない。
 わたくしはただ、驚異のねぢを卷いて、そのほどけるがままに、澄み切つた歌をうたひたいと思ふから、あへてかういふ名をつけたのであるが、赤や紫や青の、夢のきれはしを投げつけて、少年のわたしの心をさざなみ立たせたところの、あの「歌時計」の歌のやうな、それほどの魅力がわたしの童謠にあるかないか。
 だが、そんな反省にくすぶると、この小さな童謠集に、小さいながらにも、この兩三年間の選集であるだけに、わたしの眉はくもらざるを得ないが、とにかく、歌時計のねぢは健全なる自製であるから、その快よき理由で、自分だけとしては、眉のくもりは追ひ拂ふことにしよう。
 なほ、この童謠集のために、いろいろお世話していただいた大島庸夫君に感謝したい。
  昭和四年四月


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