白い百合

草にかくれた
白い百合
花のすがたは
見えないが

あまいにほひを
たてるので
すぐにありかが
見つかつて

金《きん》の羽蟲《はむし》が
五匹づれ
かさこそ分《わ》ける
草のなか。

花に近づき
みんなして
ほめそやしたよ
白い百合。
[#改ページ]

   父さんのマント

父さんのマントは
大きいな
ぼくら兄弟三人が
すつぽりかぶつて
まだあまる。

父さんのマントは
大きいな
ぼくら兄弟三人が
ひろげてすはつて
まだあまる。

かぶつてみたり
すはつたり
大きなマントは
いいおもちや
遊んでゐるまに
日が暮れた。



底本:「叢書 日本の童謡「歌時計 童謠集」」大空社
   1996(平成8)年9月28日発行
底本の親本:「歌時計 童謠集」行人社
   1929(昭和4)年6月1日発行
※本文「青いかげ」第三連、四行一文字目「來」と六行一文字目「と」は、底本では誤って逆に植字されています。
入力:大久保ゆう
校正:土屋隆
2006年7月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.j
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