こんで、丁寧に迎へ入れ、ウ※[#小書き片仮名ヲ、395−下−4]ルターの命ずるまゝに、すべての荷物を、大火薬庫の中へ入れこみました。
ウ※[#小書き片仮名ヲ、365−下−7]ルターは、それを見とゞけると、すぐに、もとの河岸へ引きかへし、アラビア人の家で軍服をぬぎ、夜の十二時が来るまで、ひそんでゐました。火薬庫に入れこんだ、いくつもの爆発の時計は、その時間に、かけておいたのです。ウ※[#小書き片仮名ヲ、395−下−10]ルターは十二時少しまへに、モーターボウトに乗りこんで、船首を河下へ向け、かぢ[#「かぢ」に傍点]をにぎつて、まちかまへてゐました。時計にたいしては、すでに、こつそりと、十分の試験がしてあるのです。
もう五分、三分、二分、ほら一分と、いふとき、ウ※[#小書き片仮名ヲ、395−下−15]ルターは急いで、スタートを切つて走り下りました。
と、間もなく、ドドンと大地そのものがさけわれるやうな大爆音と地ひゞきと一しよに、町の上空へ真つ赤な炎の噴出がひろがりました。
ウ※[#小書き片仮名ヲ、395−下−20]ルターは、無難に家族のところへかへつて来ました。
「アラビア人の遊牧
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