よ/\バスラを出発した後も、幸にモーターの調子も終始狂はず、七日目の朝のしら/\あけに無事に、バグダッドの町へつきました。
あたりの家々がまだ寝しづまつてゐるので好都合でした。ウ※[#小書き片仮名ヲ、395−上−12]ルターは荷包みの一つから、軍服や、軍帽を取り出して、すつかりドイツの士官になりすましました。そして、傲然《がうぜん》と、河岸のアラビア人の家をたゝきおこし、トルコ軍の火薬庫へ重要貨物をはこぶについて、数人の人夫がいる、すぐにそろへ集めろと命令しました。例の爆発時計だけでは、あやしまれる気づかひがあるので、わざと、ほかに、弾薬と見せかけて、重みのある、大きな荷物をも持つて来たのでした。
ウ※[#小書き片仮名ヲ、395−上−19]ルターは、それ等の荷物を、すつかり人夫たちの背中にせおはせて、兵器庫へ向つて出かけました。
ウ※[#小書き片仮名ヲ、395−下−1]ルターは、途中の休息時間を、たくみに延びちゞめして、わざと、丁度夜になるころに、目的の火薬庫へつきました。警戒についてゐるトルコ兵たちは、むろん、ウ※[#小書き片仮名ヲ、395−下−3]ルターをドイツの士官とおもひ
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