本の各地や世界中へ、東京横浜の大惨害がつたえられ、地方からの食糧輸送とうがはじまったのです。同飛行機は、火災地の上空をいきかえりしたので、機体がすす[#「すす」に傍点]でまっ黒になったと言われています。
摂政宮殿下には災害について非常に御心痛あそばされ、当日ただちに内田臨時首相をめし、政府が全力をつくして罹災者《りさいしゃ》の救護につとめるようにおおせつけになりました。二日の午後三時に政府は臨時震災救護事務局というものを組織し、さしあたり九百五十万円の救護資金を支出して、り[#「り」に傍点]災者へ食糧、飲料水をくばり、傷病者の手あて以下、交通、通信、衛生、防備、警備の手くばりをつけました。同日午後五時に、山本|伯《はく》の内閣が出来上り、それと同時に非常徴発令を発布《はっぷ》して、東京および各地方から、食料品、飲料、薪炭《しんたん》その他の燃料、家屋、建築材料、薬品、衛生材料、船その他の運ぱん具、電線、労務を徴発する方法をつけ、まず市内の自動車数百だいをとりあつめて新宿《しんじゅく》駅につまれていた六千俵の米を徴発し、り[#「り」に傍点]災者へのたき出しにあてました。
三日には東京
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