大震火災記
鈴木三重吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)相模《さがみ》なだ
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)世界|中《じゅう》
[#]:入力者注 主に傍点の位置の指定
(例)相模《さがみ》なだ[#「なだ」に傍点]
/\:くの字点
(例)ぐら/\/\と
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一
大正十二年のおそろしい関東大地震の震源地は相模《さがみ》なだ[#「なだ」に傍点]の大島《おおしま》の北上《きたうえ》の海底で、そこのところが横巾《よこはば》最長三海里、たて十五海里の間《あいだ》、深さ二十ひろから百ひろまで、どかりと落ちこんだのがもとでした。
そのために東京、横浜、横須賀《よこすか》以下、東京湾の入口に近い千葉県の海岸、京浜間《けいひんかん》、相模の海岸、それから、伊豆《いず》の、相模なだ[#「なだ」に傍点]に対面した海岸全たいから箱根《はこね》地方へかけて、少くて四寸以上のゆれ巾、六寸の波動の大震動が来たのです。それが手引《てびき》となって、東京、横浜、横須賀なぞでは、たちまち一面に火災がおこり、相模、伊豆の海岸が地震ととも
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