につなみ[#「つなみ」に傍点]をかぶりなぞして、全部で、くずれたおれた家《いえ》が五万六千、焼けたり流れたりしたのが三十七万八千、死者十一万四千、負傷者十一万五千を出《いだ》し、損害総額百一億円と計上されています。
東京の市街だけでも、二里四方の面積にわたって四十一万の家々が灰になり、死者七万四千、ゆくえ不明二十一万、焼け出された人口が百四十万、損害八億一千五百万円に上《のぼ》っています。横浜、小田原《おだわら》なぞはほとんど全部があとかたもなく焼けほろびてしまいました。
これまで世界|中《じゅう》で一ばんはげしかった地震火災は今から十五年|前《まえ》に、イタリヤのメッシーナという重要な港とその附近とで十四万人の市民を殺した大地震と、十七年前、サンフランシスコの震火で二十八|町《ちょう》四方を焼いたのと、この二つですが、こんどの地震は、ゆれ方《かた》だけは以上二つの場合にくらべると、ずっとかるかったのですが、人命以外の損害のひどかった点では、まるでくらべもつかないほどの大災害だったのです。
この大きな被害も、つまり大部分が火災から来たわけで、ただ地震だけですんだのならば、東京での
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