んねなさいましたでせう?」
ジャンヌはトゥロットのお顔を洗ひ、お着かへをすませました。トゥロットは、あの子も、着物を洗つていただいたり、ほかの着物も下さるやうに、神さまにおねがひしなければいけないねとおもひました。お着かへをする間中、トゥロットは、あの子のことばかりかんがへつゞけてゐました。
トゥロットは、あの子が三日月パンを見つけ出しにいくときの顔が早く見たくてたまりません。おゝ、けさのお天気のすばらしいこと、これはきつと、三日月パンをしめらさないやうにするためだよと、トゥロットはおもひました。
トゥロットは二分間でチョコレイトをむりやりにたべこみ、おほいそぎで、三日月パンをポケットにおしこみました。
「お母ちやま、ちよつと浜へいつて来てもいゝ?」
「まあ、何でけさは、そんなに早くからいくの? おゝ、いゝお天気だこと。ぢやァいつてらつしやい。先生がおいでになつたらよびますから。」
トゥロットは岩のところへかけつけました。神さまの三日月パンはどんなでせう。きつとパン屋のよりも、もつと/\金色で、そして、ずつと大きいにちがひありません。トゥロットは、すこしあの子がうらやましくなり
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