たいほど元気がつきました。でも何だかしんぱいでもありました。ねがけにトゥロットは聞きました。
「お母ちやま、神さまに何かおねがひすれば、いつでも下さるのね。」
「それや、下さるわ。むりなことでなければ。そして、しんからおねがひすれば。」
トゥロットはそれを聞いて、すつかりあんしんしました。あの子が、あさごはんに三日月パンを下さいとおねがひするのは、むりなことでも何でもありません。しんからおねがひするか、しないか。それは一しようけんめいにおねがひするにきまつてゐます。トゥロットは、じぶんがパンを食べてゐるのを、あの子がじろ/\見てゐた、あの目つきをおもひ出しました。
トゥロットは眠りこみました。そしてゆめを見ました。神さまは、牛のつのや、象のきばほどもある、大きな/\三日月パンの一つぱいはいつたかご[#「かご」に傍点]を、あの子のまへでおあけになりました。あの子の食べること、食べること。神さまは、なくなればいくらももつて来て下さいます。男の子はすつかりよろこんで、頬《ほほ》をまつ赤にしてをどつてゐます。トゥロットのうれしさと言つたらありません。
「坊ちやま、お早うございます。よくおね
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