さい。私は、娘が一と息で数えるだけの、羊と牛と山羊《やぎ》と馬と豚を、お祝いにやりましょう。しかしお前さんが、これからさきこの娘を、何のつみもないのに、三べんおぶちだと、すぐにこちらへとりもどしてしまいますよ。」と言いました。ギンはおおよろこびで、
「いえいえけっしてそんなことはいたしません。この人をぶつくらいなら、私の手の方を先に切ってしまいます。」と、あらためておじいさんにもちかいました。おじいさんはそれを聞くと安心して娘に向って、おまえのほしいと思う羊の数《かず》を、一と息で言ってごらんと言いました。娘はすぐに、
「一《ひい》、二《ふう》、三《みい》、四《よう》、五《いつ》。一《ひい》、二《ふう》、三《みい》、四《よう》、五《いつ》。一《ひい》、二《ふう》、三《みい》、四《よう》、五《いつ》。」と、一度の息がつづくかぎり五つずつ数をよみました。すると、それだけの羊が、すぐに水の下から出て来ました。
おじいさんは、今度は牛の数を一と息でお言いなさいと言いました。娘がまた同じように、
「一《ひい》、二《ふう》、三《みい》、四《よう》、五《いつ》。一《ひい》、二《ふう》、三《みい》、
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