やがて大和《やまと》の吉野河《よしのがわ》の河口《かわぐち》へお着きになりました。そうするとそこにやなをかけて魚《さかな》をとっているものがおりました。
「おまえはだれだ」とおたずねになりますと、
「私はこの国の神で、名は贄持《にえもち》の子と申します」とお答え申しました。
それから、なお進んでおいでになりますと、今度はおしりにしっぽのついている人間が、井戸《いど》の中から出て来ました。そしてその井戸がぴかぴか光りました。
「おまえは何者か」とおたずねになりますと、
「私はこの国の神で井冰鹿《いひか》と申すものでございます」とお答えいたしました。
命《みこと》はそれらの者を、いちいちお供《とも》におつれになって、そこから山の中を分けていらっしゃいますと、またしっぽのある人にお会いになりました。この者は岩をおし分けて出て来たのでした。
「おまえはだれか」とお聞きになりますと、
「わたしはこの国の神で、名は石押分《いわおしわけ》の子と申します。ただいま、大空の神のご子孫がおいでになると承りまして、お供に加えていただきにあがりましたのでございます」と申しあげました。命は、そこから、いよい
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