をくだしましょう。それには、高倉下《たかくらじ》の倉《くら》のむねを突きやぶって落としましょうと、こうお答えになりました。
 それからその建御雷神《たけみかずちのかみ》は、私に向かって、おまえの倉《くら》のむねを突きとおしてこの刀を落とすから、あすの朝すぐに、大空の神のご子孫にさしあげよとお教えくださいました。目がさめまして、倉へまいって見ますと、おおせのとおりに、ちゃんとただいまのその太刀《たち》がございましたので、急いでさしあげにまいりましたのでございます」
 こう言って、わけをお話し申しました。
 そのうちに、高皇産霊神《たかみむすびのかみ》は、雲の上から伊波礼毘古命《いわれひこのみこと》に向かって、
「大空の神のお子よ、ここから奥《おく》へはけっしてはいってはいけませんよ。この向こうには荒《あ》らくれた神たちがどっさりいます。今これから私が八咫烏《やたがらす》をさしくだすから、そのからすの飛んで行く方へついておいでなさい」とおさとしになりました。
 まもなくおおせのとおり、そのからすがおりて来ました。命《みこと》はそのからすがつれて行くとおりに、あとについてお進みになりますと、
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