ていても、これまでただの一度もめいったお顔をなさったことがないのに、ゆうべにかぎって深いため息をなさいました。なにか急にご心配なことがおできになったのでしょうか」と言いました。
 海の神はそれを聞くと、あとで命に向かって、
「さきほど娘《むすめ》が申しますには、あなたは三年の間こんなところにおいでになりましても、ふだんはただの一度も、ものをお嘆《なげ》きになったことがないのに、ゆうべはじめてため息をなさいましたと申します。何かわけがおありになるのでございますか。いったいいちばんはじめ、どうしてこの海の中なぞへおいでになったのでございます」こう言っておたずね申しました。
 命はこれこれこういうわけで、つり針《ばり》をさがしに来たのですとおっしゃいました。
 海の神はそれを聞くと、すぐに海じゅうの大きな魚《さかな》や小さな魚を一ぴき残さず呼《よ》び集めて、
「この中にだれか命の針をお取り申した者はいないか」と聞きました。すると魚たちは、
「こないだから雌《め》だいがのどにとげを立てて物が食べられないで困《こま》っておりますが、ではきっとお話のつり針をのんでいるに相違ございません」と言いまし
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