ますまい。ほんとうに二人の子である印《しるし》には、どんなことをして生みましても、必ず無事に生まれるに相違ございません」
こう言ってわざと出入口のないお家をこしらえて、その中におはいりになり、すきまというすきまをぴっしり土で塗《ぬ》りつぶしておしまいになりました。そしていざお産をなさるというときに、そのお家へ火をつけてお燃《も》やしになりました。
しかしそんな乱暴《らんぼう》な生み方をなすっても、お子さまは、ちゃんとご無事に三人もお生まれになりました。媛《ひめ》は、はじめ、うちじゅうに火が燃え広がって、どんどん炎《ほのお》をあげているときにお生まれになった方を火照命《ほてりのみこと》というお名まえになさいました。それから、つぎつぎに、火須勢理命《ほすせりのみこと》、火遠理命《ほおりのみこと》というお二方《ふたかた》がお生まれになりました。火遠理命《ほおりのみこと》はまたの名を日子穂穂出見命《ひこほほでみのみこと》ともお呼《よ》び申しました。
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満潮《みちしお》の玉、干潮《ひしお》の玉
一
三人のごきょうだいは、まもなく大きな若《わか》い人におなり
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