でもお栄えになりますばかりでなく、石長媛《いわながひめ》を同じ御殿にお使いになりませば、あの子の名まえについておりますとおり、岩が雨に打たれ風にさらされても、ちっとも変わらずにがっしりしているのと同じように、あなたのおからだもいつまでもお変わりなくいらっしゃいますようにと、それをお祈り申してつけ添えたのでございます。それだのに、咲耶媛《さくやひめ》だけをおとめになって、石長媛《いわながひめ》をおかえしになったうえは、あなたも、あなたのご子孫のつぎつぎのご寿命《じゅみょう》も、ちょうど咲いた花がいくほどもなく散りはてるのと同じで、けっして永《なが》くは続きませんよ」と、こんなことを申し送りました。
 そのうちに咲耶媛《さくやひめ》は、まもなくお子さまが生まれそうになりました。
 それで命にそのことをお話しになりますと、命はあんまり早く生まれるので変だとおぼしめして、
「それはわしたち二人の子であろうか」とお聞きになりました。咲耶媛《さくやひめ》は、そうおっしゃられて、
「どうしてこれが二人よりほかの者の子でございましょう。もし私たち二人の子でございませんでしたら、けっして無事にお産はでき
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