も申しあげかねます。どうぞ父の大山津見神《おおやまつみのかみ》におたずねくださいまし」と申しあげました。
 命《みこと》はさっそくお使いをお出しになって、大山津見神《おおやまつみのかみ》に咲耶媛《さくやひめ》をお嫁にもらいたいとお申しこみになりました。
 大山津見神《おおやまつみのかみ》はたいそう喜んで、すぐにその咲耶媛《さくやひめ》に、姉の石長媛《いわながひめ》をつき添《そ》いにつけて、いろいろのお祝いの品をどっさり持たせてさしあげました。
 命《みこと》は非常にお喜びになって、すぐ咲耶媛とご婚礼をなさいました。しかし姉の石長媛は、それはそれはひどい顔をした、みにくい女でしたので、同じ御殿《ごてん》でいっしょにおくらしになるのがおいやだものですから、そのまますぐに、父の神の方へお送りかえしになりました。
 大山津見《おおやまつみ》は恥《は》じ入って、使いをもってこう申しあげました。
「私が木色咲耶媛《このはなさくやひめ》に、わざわざ石長媛《いわながひめ》をつき添いにつけましたわけは、あなたが咲耶媛《さくやひめ》をお嫁になすって、その名のとおり、花が咲《さ》き誇《ほこ》るように、いつま
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