《やさか》の曲玉《まがたま》という、それはそれはごりっぱなお首飾《くびかざ》りの玉と、八咫《やた》の鏡《かがみ》という神々《こうごう》しいお鏡と、かねて須佐之男命《すさのおのみこと》が大じゃの尾の中からお拾いになった、鋭い御剣《みつるぎ》と、この三つの貴《とうと》いご自分のお持物を、お手ずから命《みこと》にお授けになって、
「この鏡は私の魂《たましい》だと思って、これまで私に仕えてきたとおりに、たいせつに崇《あが》め祀《まつ》るがよい」とおっしゃいました。それから大空の神々の中でいちばんちえの深い思金神《おもいかねのかみ》と、いちばんすぐれて力の強い手力男神《たぢからおのかみ》とをさらにおつけ添《そ》えになったうえ、
「思金神《おもいかねのかみ》よ、そちはあの鏡の祀《まつ》りをひき受けて、よくとり行なえよ」とおおせつけになりました。
邇邇芸命《ににぎのみこと》はそれらの神々をはじめ、おおぜいのお供の神をひきつれて、いよいよ大空のお住まいをおたちになり、いく重《え》ともなくはるばるとわき重なっている、深い雲の峰《みね》をどんどんおし分けて、ご威光《いこう》りりしくお進みになり、やがて天
前へ
次へ
全242ページ中62ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング